可憐な日々
エイリはオーナーと、まともに話したことはない。



「今…開けますから」

優希は鞄から、鍵を取り出すと、裏口のシャッターを開けようとした。

(ホステスが…店のキーを持ってるだと……?)

オーナーと優希…二人の醸し出す雰囲気は、オーナーとホステスの雰囲気ではなかった。



その時、なぜ…エイリは言葉を口にしたのかは…わからない。

優希がシャッターを開け、先に中に入った後、

「入ろうか」

次に続こうとするオーナーに、エイリは声をかけた。

「オーナー!」

エイリの声は、どこか震えていた。

「ん?」

オーナーは足を止め、振り返った。

「この子を…ご存知ですか?」

エイリは、ポケットから学生証わ取出し、オーナーに示した。

「知り合いが…拾ったのですが…」

「え?」

オーナーは、エイリから受け取った学生証を見て……動きを止めた。そして、しばらくして持つ手が震えだした。

「か、可憐……」



なかなか入って来ない二人が気になって、優希が中から戻ってきた。

「どうしたんですか?」


オーナーは震える手で、優希に学生証を見せた。

「か、可憐の…居場所がわかった…」




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