可憐な日々
次の朝。

「ふわぁ〜」

出勤後の朝。

可憐は、大きく欠伸しながら、学校への道を歩いていた。

「可憐!」

リズムよく、近づいてくる足音に、

可憐は、欠伸の途中の顔のまま、振り返った。

「おはよう」

親友の速水香里奈が、息を切らしながら、走ってくる。

「おはよう」

可憐に追いつくと、香里奈は並んで、歩き出した。

「可憐。大丈夫なの?」

香里奈の言葉に、可憐は、首を傾げた。

「何が?」

「何がって…」

香里奈は呆れながら、

「あんた。今、1人暮らしじゃないの。お母さんが、亡くなって」

「ああ…そうだった」

他人事のように、呟く可憐に、

香里奈は、溜め息をついた。

「ほんと…大丈夫?」

香里奈は、可憐の前に回り込むと、可憐の両肩に、手を置いた。

「何かあったら、うちにおいでよ。あたしんとこも、今はおばさんと、2人だけだから」

香里奈の家は、店をやっており、

何でも、音楽通には、有名なとこらしい。

可憐は、音楽に疎い。

香里奈の母親は、有名な歌手で、世界中を飛び回っているらしいけど、

可憐が、知るはずもなかった。
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