唯一の純愛
妻は障害者年金を断念します。

受給額は下がりますが、生活保護の受給へと切り替えます。

申請にあたり、母方の祖母の援助を受けたようです。

妻は幼少の頃より、おばあちゃんっ子だったそうです。
不登校時代も祖母の家にお世話になっていたそうです。

祖母も妻を理解し、可愛がってくれてたようです。

おばあちゃんだけが自分を理解してくれた。
妻もそう言っていました。

その祖母とも、後に死別することとなります。

余談となりますが、妻は祖母の死を知らされていませんでした。

妻は四人姉妹の長女なのですが、姉妹の中でも一番縁が深く、誰よりも懐いていたのに、家族の中でただ一人、祖母が亡くなった事を知らされませんでした。

後に妻の葬儀の席で、妻の妹の一人がこんな事を言っていました。
障害もあって大変だろうから知らせなかった。

その話を聞き、私は吐き気を覚えました。
要するに、障害があって小回りのきかない妻が邪魔だった。
私にはそう聞こえました。

妻が祖母の最後に立ち会えなかった事を、どれだけ悔やんでいたかも知らずに。
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