唯一の純愛
新生活
付き合い始めて程なく、妻は急に引っ越しました。
あまりにも急すぎて、私は引っ越し先すら知らされていませんでした。

ある日の妻からのメール。
引っ越し終わったよ。

え?
何処に?

我ながら間抜けなリアクションだったと思います。

後々思い知らされる事になるのですが、妻はそんな人物です。

言葉足らずと言いますか、本人は話したつもりなのですが、その実、何も話していない事が多々ありました。

経緯を知らぬまま、事後報告だけをいきなりされる事などザラでした。


策を練りに練ってから行動する私にとっては、妻との日々は常にスリリングでした。

良く言えば退屈しない。
悪く言えば心休まる暇もない。
そんな毎日でした。

本来、自分のペースを乱される事を極端に嫌う私ですが、妻の破天荒ぶりには、諦め半分、面白さ半分といったところでした。
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