唯一の純愛
いつの頃からか、私達は同棲を始めました。

きっかけは私の転職。

元々半同棲状態でしたが、転職を機に、本格的に将来を見据え、完全同棲と相成りました。

一緒にいる時間が増えた分、会話の機会も増えました。

不思議と妻との会話は途切れません。

それは妻が亡くなるまで、変わる事なく続きました。

もちろんお互いに何かをしている時は例外ですがね。

私は元々無口なほうです。
話すのが苦手だとか、嫌いなわけではありません。
感情の起伏が乏しいとでも言いましょうか、常に平坦で、淡々と話すため無口だと思われやすい。
ただそれだけの事です。

冗談も淡々と言うため、妻に気付いてもらえない事も度々ありました。

逆に妻は感情豊かでした。

ランス・アダムス症候群の症状を抑える薬の副作用で、多少情緒不安なところもありましたが、それを差し引いても感情豊かだったと思います。

よく笑い、よく泣き、よく怒る人でした。

特に、楽しくなってくると我を忘れるようで、テンションがどこまでも上がるタイプでした。

よく深夜に、近所迷惑だから落ち着けと宥めたものです。

私はそんな妻を見てるのが好きでした。
見ていて飽きない人でした。

妻も私に対し同じ事を思っていたようでした。

客観的に見ても、私達は仲の良いカップルだったと思います。

喧嘩の回数も少ないほうだと思います。

そんな私達ですが、悩みがなかったわけではありません。

特に子供の事では、大きな悩みを抱えていました。



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