唯一の純愛
同棲前の私は、夜中に訪ね、早朝に仕事に行くというサイクルでした。

初めて休みの日に、ゆっくり泊まった時に、二度目の違和感を感じました。

その日は平日でしたので、息子は普通に学校がありました。
時間になり、妻が彼を起こそうとした時、事件は起きました。

あのゲームの時のように、また暴れ出したのです。
起こそうとすると暴れてまた寝る。

それを繰り返していました。

いつもこうなの?
流石に妻に聞きました。

うん、だいたいいつもこんな感じ。
妻は溜め息混じりにそう答えました。

ちょっと待て、これはあまりにも酷いぞ。

俺が起こそうか？
見兼ねた私がそう言うと、妻は迷惑がかかるからいい、と答えました。

迷惑と言っても相手はたかだか小二。
大した事はないと高をくくり、少し強引に起こしました。

立ち上がって私を睨みつける息子。

大人に対する恐怖など全く無い目でした。

と、次の瞬間。
息子は私の顔目掛けて殴りかかってきました。

私はそれを避けず、わざと殴らせました。

妻は驚きのあまり、息子を怒鳴りつけながら止めに来ました。

私が怒ると思ったのだと後に語っていました。

私は妻を制止し、息子の目を見据え、もっと殴ってみろと、彼に詰め寄りました。

彼の人生において、初めて暴れても怒りもしなければ、動じることもない大人が現れたわけです。

結局彼は最初の一発以降は殴ってきませんでした。

彼の中で、初めて大人への恐怖が芽生えたのではないでしょうか。
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