唯一の純愛
2014年12月2日
秋の終わり、私は風邪をひきました。
熱はなかったのですが、喉の痛みが酷く、お粥ぐらいしか食べられない状態でした。

そんな私のために、妻は冬服を出して、洗濯をしてくれていました。

妻も風邪気味でしたが、私の看病を優先してくれました。
本当に優しい人でした。

私は、薬を飲んで寝ていました。

深夜0時前、私は目を覚ましました。
妻は傍らでケータイゲームに興じていました。

私が起きたのを確認すると、お腹すいたやろ?ご飯炊くな。
そう言ってご飯を炊いてくれました。

ご飯が炊けるまでの間、パソコンに保存してあったアニメを二人で見ました。

やがてご飯が炊け、食事の準備をしていると、喘息の発作が治まらない。
と、妻が言いました。

普段は吸入器で薬を吸入すると、すぐに治まります。
しかしこの日は、何度吸入しても治まりません。

妻を休ませ、私が料理をしました。

食事中も発作は続いており、ついには食事を中断しました。

外の空気を吸わせたり、背中を摩ったりしましたが、悪化していく一方です。

私は妻に尋ねました。
救急車呼ぼうか?

妻は、それだけは嫌だと拒否しました。

仕方が無いので、しばらく様子を見ていましたが、改善される気配はありません。

私は妻に言いました。
頼むから救急車呼ばせてくれ。

妻は了承こそしませんでしたが、先程のような拒否もしませんでした。

私は急いで救急車を呼ぶと、妻を着替えさせました。

救急車が到着する頃には、妻はもう会話もままならない状態でした。

私はいたたまれなくて、妻に声をかけてやる事も出来ずにいました。
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