唯一の純愛
迷いながら、それでも散歩だけは欠かさず続けてきました。

そんな散歩に、今日は変化がありました。

今まで、どんなに土砂降りの雨でも、どんなに大雪でも、散歩の時は必ず止みました。

それこそ偶然なのかも知れない。
無意識に止んだタイミングを見計らっていたのかも知れない。

しかし私は、妻も散歩に行きたがっているのだと信じ、散歩を続けてきました。

散歩の道中、私は妻に語りかけ、問いかけます。
思い出話、疑問、相談、現在の心境、様々な話をします。

今日は感極まってしまい、大声をあげて泣いてしまいました。

すると、この一ヶ月間で初めて、雨が降りました。

まるで妻も一緒に泣いているように…

他人からすれば、取るに足らない些細な偶然なのでしょう。

がしかし、私にとってはどれも、妻が今も私の傍にいると思わせてくれる奇跡の数々です。

いつでも私の傍にいて
いつでも私を守り
いつでも私を支え
いつでも私と歩み
いつでも私を愛してくれた妻。

死して尚、妻は変わらず妻で在り続けてくれている。

そう考えるのは、私の弱さが生み出す幻想なのでしょうか。
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