らぶ♂ちょい

しかも、意地悪な笑みという、さらに苦いスパイスまで付けて。


「それなら、どっちがいいかなんて私に聞くまでもないじゃないですか」


つい大人気なく、両手に拳を握り締め、口を尖らせる。

私の『ありがとうございます』を返してほしい。


「可愛い顔してるんだから、そんな顔はしない方がいいぞ」

「もう! からかわないでください!」

「ほら、こうして」


カップをテーブルに置き、私の頬へと手を伸ばす。


一瞬身体を引いたけれど、それ以上どこにも逃げ場はなくて、そのまま西野さんの指に捕まってしまった。


私の口角を、指先で無理矢理上に持ち上げる。


……笑えと?
この状況で、笑顔を見せろと言うんですか?

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