らぶ♂ちょい
「二人きりになりたくて、わざわざ残業という形を取ってるとか」
「違うってば。昼間は他の仕事に手一杯で、私のことまで面倒みきれないの」
二人の妄想に、思わず辟易。
「でも、ナナと西野さんの様子を見て、おもしろくないと思ってる人もいるから、そのへんは気をつけてね」
「どういうこと?」
「秘書課の千里さん、西野さんとヨリを戻そうとしてるらしいから」
え、でも……千里さんって確か……。
「西野さんを振って、別の男の人の元へ走ったくせにね」
真佐美が不服そうに言い捨てる。
……そっか。
千里さん、西野さんの元へ戻りたいんだ。
それなら尚更だ。
男子社員憧れの千里さんが相手じゃ、私に勝ち目なんてあるはずもない。
真佐美の追加したおまけ情報に、西野さんの顔は、私の心からプシューと音を立てて消え去って行った。