らぶ♂ちょい

これじゃまるで……「あ~ん」じゃないですか。


でも、唇を付けてしまった以上、西野さんに食べさせるわけにもいかなくて。

黙って口を開けた。


不意に、カラカラと音を立てて開けられた店のドア。


「あら、いらっしゃい。随分とご無沙汰だったんじゃない?」


早苗さんが笑顔で出迎える。


すると――……


「あれ? 西野じゃないか?」


突然、背中から声を掛けられて。

一緒に振り返ると、そこに立っていたのは、西野さんと同年代くらいの男の人で、にこやかな笑顔を浮かべていた。


「おう、久しぶりだな」

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