らぶ♂ちょい

こんな風に、私を高みへと引っ張っていってくれる人は初めてだ。

今まで好きになった男の人とは、いつも中途半端な恋心だけで動いていて、目標を持って何かを頑張るなんてことはなかったから。


何となく付き合って、結果振られて。

その繰り返し。


自分を高められるような、ちゃんとした恋なんて、してこなかったのかもしれない。



「コトリちゃん、手」


西野さんが拳を握って私へ突き出す。


「はい? ――あ、はい」


なんだか照れ臭い。


私も拳を握って、コツンと西野さんとぶつけ合った。


< 53 / 71 >

この作品をシェア

pagetop