らぶ♂ちょい

不意にいたずら心が芽生えた。


毎朝、西野さんにされ続けて来たから。

今度は、私の番だ。


トントンと肩先を右手で叩き、西野さんが顔をほんの少し私へ向けると同時に、その頬へ指を突き刺した。


「……何の真似だ」

「これまでの仕返しです」


憮然とした表情の西野さんに、ふふふと微笑み返すと


「俺に仕返しとは、いい度胸だ」


意地悪な笑みと共に、私の右手をムギュっと握り返した。



幾度となく、恋はしてきたけれど。

今思えば、上辺ばかりのおままごとみたいなもので。

全ては、西野さんに出会うための序章に過ぎなかったのかもしれない。

< 69 / 71 >

この作品をシェア

pagetop