らぶ♂ちょい

「どっちがいい?」


また出た、いつもの選択肢。


「何がですか」


つい口を尖らせる私に


「こっちとこっち」


西野さんの唇と私の唇、両方を交互に指差す。


両方、唇……?



…………。



「どっちも一緒じゃないですか」

「当然だ。他に選択肢なんか、必要ない」


勝ち誇ったように微笑んだ。


そっと重ねた唇は、私が西野さんから初めて思い通りに手に入れたもの。


それは、絶対に手放したくはない、大人の初恋。


「それで、これからどこへ行くんですか?」

「ん? ……ああ、そうだなぁ。次の交差点を右に曲がるのと、左に曲がるの、どっちにする?」



―fin―

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