不思議な6人組
彼が再び口を開いたのはマンションの前についてからだった。

 「お、さすがお嬢様。いいところに住んでんじゃねーか」
皮肉交じりの声が耳に触る。
見上げる先にあるのは、全国でも5本の指に入るであろう有名なマンション。
入り口に飾ってあるネームを見て゛いいとこ”なんで言わないでほしい。
彼に見えないように握った手のひらは今日も冷たい。

 「とっとと入れよ。お父さんやお母さんが待ってるぞ?」
頭を貫かれたみたいに冷たい言葉が刺さる。
周りの音が痛い。

 「あなたも、早く帰ればいいでしょう?もう家に着いたんだもの」

 「お前が家の中に入んねーと俺も帰れないんだよ。会長様のご命令でな」
黒の彼も何でここまでするのだろう。
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