うそつき執事の優しいキス
 一緒に行くのがもう決定されている様子に、わたしは逆らえなかった。


 う、うん。


 朝も、今も助けてもらったし。


 生徒会長でダイヤモンド・キングな神無崎さんだもん!


 どー危ないかなんて知らないけれど……無茶なコトは……しないよね?


 なんて、ちょっとドキドキしながら彼のでっかい背中についてゆき……到着した所で、おお、と声をあげちゃった。


 そこは、わたしが通学に使っている海が見える裏門の近くで、静かですごく景色の良いところだったから。


 入口は門のそばの植え込みの陰で、丁度壊れた学校の塀を隠してた。


 そこをくぐってすぐの所に、公園で見かけるような四人がけの木製のベンチ二つと、八人で囲める大きなテーブルがある。


 要は、すぐ近くとはいえ、学校外なんだ。


 君去津高の校則では、登下校以外、学校外に出ることは禁止されているんだけども……生徒会長のはずの神無崎さん、そんなの全く気にしてないみたい。


 彼は、何の気負いも無くベンチに座ると、手に持っている白い袋を、がさがさやりながら言った。
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