うそつき執事の優しいキス
「オレのオヤジ。
 西園寺の足もとにも及ばねぇけど、一応、そこそこ資産家。
 財閥グループの端くれだったりするんだよな。
 もっとも、オレは妾腹だったりするから、大したことはねぇんだが」


「妾腹(めかけばら)?」


「……愛人の息子ってこと」


 えっ!


 神無崎さんは淡々と話しているけど、あんまり突っ込んじゃいけない類いのモノ……だよね?


 ごめんなさいっ! って頭を下げたら、神無崎さんは別っつに気にしてねぇぜ、って手を振った。


「愛人ったって、オヤジはオレん家の方がイイらしくてさぁ。
 また今日も居んのかよってぐらい入り浸ってるから、かまわねぇし。
 ……ただ、オヤジが作った、もうイッコの家のクソババアと莫迦兄貴が何かと文句をつけて来るのがウザくてさぁ。
 いずれ見返してやろうとは思ってるんだ」


「そっか……」


 雷威神として集まった人。Cards soldierの一員になった人は、それぞれワケありだって宗樹が言っていたけど……


 君去津高生徒会長、神無崎裕也さんの『ワケ』ってこれだったんだ。


 心の中でうなづくわたしに、神無崎さんは言った。


「それで、本題。
 西園寺。オレに宗樹をくれないか?」


「……は?」
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