うそつき執事の優しいキス
「アイツが、お前を彼女にすることは出来ない。
 例え世界が終わっても、お前が西園寺で、宗樹が藤原である限り。
 宗樹本人にも、ちゃんと聞いたぜ?
 ……そしたら、オレの前でラブラブごっこをしてたのは『役目』だからだって。
 オレが、日ごろから女遊びが酷い事を警戒したんだと。
 まぁ、大事なお嬢様を遊び人に近づけるヤツは居ないからなぁ。
 ……とにかく。
 オレが、他の女と手を切って、真面目に付き合う気があるなら。
 そして、お前の意志を無視して強引に話を進めなければ、邪魔はしない、と言われた」


「神無崎……さん」


 改めて、じっと見つめてきた彼の瞳が獣のように、強かった。


 怖い……って、心の底からそう思う。


 思わず震えたわたしの肩を遠慮なく抱いて、神無崎さんは、ささやく。


「オレはお前が気に入った。
 西園寺のお嬢さま、ってことも、宗樹の事を全部含めた状況から考えても、オレの相手はお前しかいねぇ。
 ……もう他の、どんな女にも目をくれねぇコトを約束する。
 だから、お前、オレの女になれ」


 そんなこと、急に言われたって!


「あの……わたし、神無崎さんのコト、まだ良く判らなくて……」
  
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