うそつき執事の優しいキス
 



 よし!


 今日こそは絶~~対、一人で登校するんだから、ねっ!


 宗樹と神無崎さんと三人で、初めて学校から帰った次の日の朝。


 自宅からの最寄り駅まで順調にたどり着いたわたしは、両手をグーに握りしめて誓ったはずだった。


 そして、そのまま。


 大勢の人が行き来する改札口まで、歩き出そうとした瞬間。


 わたし、誰かに肩を抱かれ、まるで連れさらわれるヒトみたいに速やかに、電車のプラットホームに連れて行かれてた。


 宗樹だ。


 今日は、おとといと昨日。


 二日間のうち最速でお世話になっちゃった……ん、だけど……


 今まで宗樹は、わたしが人ごみに流されているのを見かねて手を貸したっぽいのに!


 今日は、自分で登校出来るかどうか試してみる前に、捕まっちゃった。


 わたし、苦手なラッシュと、学校についてからの部活動勧誘の皆さまを避けるべく。


 そして、何よりも『執事』な宗樹自身と会いたくなかったし。


 昨日の様子だと『一緒に登校しねぇか?』って言いかねない神無崎さんも避けたかった。


 だから、昨日よりかなり早くこの最寄り駅に来たはずだったのになぁ。


 宗樹は、どれだけ早くから待っていたんだろう?
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