うそつき執事の優しいキス
今日の宗樹は、わたしの登校風景をニ回見て、多分三回目もダメだろーとか踏んで最初から助けた、って感じではなかった。
宗樹は、わたしの肩を抱いて、ものすごい速さで移動しながら、一言もしゃべらなかった。
見上げれば、今日の宗樹は今まで登校途中で見せていた『フツーの高校生』でも『執事の無表情』でもなく。
明らかに怒った顔、してる。
「えっ……えええっと、宗樹、どうしたの?」
「………」
何に怒っているんだろう?
戸惑って宗樹の名前を呼んだけど、彼は返事をしてくれなかった。
その代わりに、みたいに宗樹はわたしを抱きしめる。
この二日間に比べ、明らかに空いているはずのJRの駅と電車の隅で、宗樹は今までと同じように……ううん、もっと強く、痛いほど。
人ごみに流されることもないし、無理に押し込んで来る人もいないから、こんな風に、何かから守る必要はないのに……
それでも、宗樹は黙って抱き締めていたけれど、神無崎さんが、わたしの肩を抱いた時と、全く違う感じがした。
笑ってる神無崎さんより、怒っている宗樹の方が安心なのは、なんでだろう?
それは、多分……おそらく……きっと。
「わたし……宗樹のコト……好きなの……かも……知れない」
ぼんやりつぶやいた言葉が聞こえちゃったのか、どうか。
また少し、強く抱きしめなおした宗樹の腕の強さとあったかさが安心で。
今はそれどころじゃないってコトは頭では判っていたけれど、なんだか眠くなってきた。
宗樹は、わたしの肩を抱いて、ものすごい速さで移動しながら、一言もしゃべらなかった。
見上げれば、今日の宗樹は今まで登校途中で見せていた『フツーの高校生』でも『執事の無表情』でもなく。
明らかに怒った顔、してる。
「えっ……えええっと、宗樹、どうしたの?」
「………」
何に怒っているんだろう?
戸惑って宗樹の名前を呼んだけど、彼は返事をしてくれなかった。
その代わりに、みたいに宗樹はわたしを抱きしめる。
この二日間に比べ、明らかに空いているはずのJRの駅と電車の隅で、宗樹は今までと同じように……ううん、もっと強く、痛いほど。
人ごみに流されることもないし、無理に押し込んで来る人もいないから、こんな風に、何かから守る必要はないのに……
それでも、宗樹は黙って抱き締めていたけれど、神無崎さんが、わたしの肩を抱いた時と、全く違う感じがした。
笑ってる神無崎さんより、怒っている宗樹の方が安心なのは、なんでだろう?
それは、多分……おそらく……きっと。
「わたし……宗樹のコト……好きなの……かも……知れない」
ぼんやりつぶやいた言葉が聞こえちゃったのか、どうか。
また少し、強く抱きしめなおした宗樹の腕の強さとあったかさが安心で。
今はそれどころじゃないってコトは頭では判っていたけれど、なんだか眠くなってきた。