うそつき執事の優しいキス
 よかった、よかった~~


 なんて。


 なんだか嬉しくて、にへにへ笑っていると、さっきまでしんみりしてた宗樹が、目を見開いた。


「もしかして……お嬢さん。
 俺の心ってちゃんと、伝わって無いとか……言わねぇ?」


「うん?
 ちゃんと伝わったよ。
 わたしのこと、好き、なんでしょう?」


「……ああ」


「わたしも宗樹のコト、大好き~~」


 ずっと抱き締められてた身体を少しだけ、ずらし。


 わたしの方から飛びこむように、宗樹をがばって抱き締めてみたら、宗樹が吠えた。


「ぜって~~判ってねぇ!
 いいか、俺はあんたのコトを愛してるって……」


 宗樹が何か言いかけた時だった。


 電車が丁度、君去津駅についたので、今日はわたしが宗樹の手を引っぱってみる。


「駅に着いたよ、ガッコ行こ」


「………しくしくしくしく。
 俺、頑張ってガキの頃のコトまで話したのに……お嬢さんなんて、大嫌いだ」


「……嫌いなの?」


 心配になって首をかしげると、宗樹が吠えた。


「そんなのウソだぜ!
 ずうっと遠くから見てるしか無かったヤツに、ようやく近づけるのに!
 今更嫌いになんてなるか、くそったれ!!」


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