うそつき執事の優しいキス
 そう、うなづいたら、宗樹は世界が終わりそうなほど大きなため息をつき、神無崎さんが『マジか!?』と叫んだ。


「なるほどな。いろんな部活に追っかけまわされるはずだぜ。
 軽音部……いやいや、Cards soldierだって、お前のコトは欲しいぐらいだ。
 オレサマ個人の問題だけじゃなく」


 そう、神無崎さんは言って目を細めた。


「なあ、西園寺。
 おまえ『レディ・ジョーカー』って名前やるからCards soldierに入らねぇ?
 ……マジで」


 れでぃ・じょーかー!?


 いや、とんでもなく、そんなガラじゃないから、わたし!


 フツーの生活、なんてそんな贅沢言わないけれど!


 なるべく~~ 極力~~ その、目立たない地味な方向で生きていきたいんですが。


 よりにもよってCards soldierなんて、君去津高校で一番目立つ場所になど、とんでもない。


 蔵人さんが歌えるように、裏方仕事は手伝ってもいいけどそれ以上は勘弁して~~


 わたしは、青ざめて手をぶんぶん振ると、蔵人さんの袖を引っ張った。


「てっ……丁重にお断りしますっ!
 それより、蔵人先輩入れませんか!? 蔵人先輩を!」


 そうよ!


 ここの音楽室を使って演奏していたのは、わたしがCards soldierに入りたいんじゃなく。


 蔵人さんがメンバーになれればいいな、って思ったからだもん!
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