うそつき執事の優しいキス
 蔵人さんが、Cards soldierへ入るのが具体的になって、焦っているのかもしれない。


 本人に聞いたら、絶対『ち~が~う』って言いそうだったけど。神無崎さんの様子を見て、蔵人さんは、腹黒ライオンみたいに、にやりと笑う。


「ずいぶん余裕がないな、神無崎裕也。
 ダイヤモンド・キングの名前が泣く、ぞ」


「うるせぇ!」


 怒鳴る神無崎さんに、蔵人さんは肩をすくめた。


「僕は別にCards soldierに余計なメンバーが入、らず。
 スペード・エースを静かに待てればそれで、いい。
 僕は理紗と貴様たちが曲を作ってくれなければ歌は歌えない、し。
 音楽の事は判らん。
 ここでリーダーにこだわるつもりは、無い」


 なんだ?


 器の少せえお前の王国を守るために何か、誓約書が欲しいのか?


 それとも、入れてくれって土下座でもしてみせようか? なんて。


 微かに笑う蔵人さんを見て、神無崎さんの表情が怒りに燃えて赤くなり。


 宗樹が、世界の終わりみたいなため息をついた。


「本気でCards soldierやるつもりなら、ケンカを売るなよ蔵人。
 そして、簡単に買うな、裕也」
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