うそつき執事の優しいキス
 もっとほんとは、ドラマの主人公みたいにちゃんとしたかったんだけどっ!


 わたしには、これが精いっぱいよ~~


「理紗?」


 わたしが、一体何をしたのか、今一つ理解して無いらしい。


 寝転がってた宗樹が起き上がり、びっくりした顔でわたしを見つめてる。


「今の……」


「キスよっ!
 わたしのファーストキス、なんだから~~
 他の誰にもあげて無いキスなんだからねっ!」


 これで、宗樹もわたしが本気で好きだって、判ったでしょう!?


 そう叫んだ時だった。


 今度は、宗樹が近づき、わたしを黙って抱きしめた。


 そして、そのまま、口づける。


 えっ、と思う間も無かった。


 わたしのかすっただけ、みたいなキスじゃない。


 ドラマで見るようなキスよりも、もっとちゃんとした口づけがわたしの唇に降りて来る。


 最初は、静かな優しいキスだった。


 それが何度も角度を変えて落とされるにつれ、切ないほどに情熱的で狂おしく。


 わたしの心と、唇を奪う。
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