うそつき執事の優しいキス
 ……はぁ。


 もぅ~~や~~だ~~


 普段なら絶対やんないミスばっかりしまくって、わたし、自分が本当にイヤ~~!


 今までちょっとやればすぐ、何でも出来たのに、なんで急に何もできなくなっちゃったんだろう?


 多分原因は皆が、わたしを見てるから……かもしれない。


 わたしのひと混みが苦手な理由もそうだけど、皆の見つめる視線にある。


 皆が見ている中頑張ろうとすると、変に緊張して身体が動かなくなっちゃうのが原因の一つに違いない。


 部活勧誘騒ぎで、君去津高内どこに行っても、何をしても注目されてしまうのが嫌なんだ。


 でも、それだけじゃない他の大きな落とし穴もあるような気がする。


 そんな、一番の原因が判らない、今。


 これから弓道部の朝練習に付き合うつもりなんだけど、今日も絶対上手く行かないフラグが、バッチリ、しっかり立ってるようで。


 も~~スッゴく憂鬱~~


 なんか、今日はガッコ行きたくないなぁって、宗樹に負けないような大きなため息をついた時だった。


「理~~紗」


 優しい声がして、ばふっと誰かがわたしを後ろから抱きしめた。


「宗樹!」


「今日も一緒にガッコいこうぜ!」


 わ~~い♪ 宗樹だ~~


 大好きな声に、下がっていたわたしの心は急上昇して、今まで憂鬱な気持ちが一気に吹き飛んだ。


「うん! 今日もよろしくねっ!」


 なんて。落ち込んでても宗樹の声に反射的に、元気に返事しちゃうわたしって~~


 自分でも、ど~~かって思うけど、仕方がないじゃない!


 だって、宗樹が大好きなんだもんっ!
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