うそつき執事の優しいキス
そうじゃなくでも、今のわたしは、何やっても上手く行かないヒトなのに!
これでバンドに入ったら、また宗樹に迷惑をかけるんじゃないかしら。
それが一番怖かった。
「ごめん……やっぱり、わたしにCards soldierは無理かなぁ」
「……そっか……」
長い間ずーっと黙って考えた。
それで出たセリフに、宗樹が残念そうに息をついた時、電車は丁度君去津駅に滑り込んだ。
相変わらず、どよよよんとした古い駅構内からわたしを守るように、宗樹は歩く。
そして、いつもは別れる駅の改札口を通り過ぎ……言った。
「今日は、もう少し先まで一緒に歩こうぜ?
実は、海で裕也や蔵人達と練習の待ち合わせをしてるんだ」
「珍しいね。どうしたの?」
Cards soldierの練習場所は、もっぱら第三音楽準備室で、そこから移動することは無い。
首をかしげるわたしに、宗樹が軽く肩をすくめた。
「ここで、蔵人の歌に歌詞が出来てさ。
合わせようとしたんだけど、音に言葉を乗せると、蔵人の音程が歌うたびに変わるんだ。
音が違うって言っても、蔵人にはわからねぇし。
いろいろやったら元の音の出し方も忘れそうだっていうからさ。
一番初めに歌を作った場所で、気分転換するんだってさ。
ん、で。
俺は、歌う蔵人に付き合って、音を聞こうと思って」
「えっ……!」
それは、大変なことだよ!?
これでバンドに入ったら、また宗樹に迷惑をかけるんじゃないかしら。
それが一番怖かった。
「ごめん……やっぱり、わたしにCards soldierは無理かなぁ」
「……そっか……」
長い間ずーっと黙って考えた。
それで出たセリフに、宗樹が残念そうに息をついた時、電車は丁度君去津駅に滑り込んだ。
相変わらず、どよよよんとした古い駅構内からわたしを守るように、宗樹は歩く。
そして、いつもは別れる駅の改札口を通り過ぎ……言った。
「今日は、もう少し先まで一緒に歩こうぜ?
実は、海で裕也や蔵人達と練習の待ち合わせをしてるんだ」
「珍しいね。どうしたの?」
Cards soldierの練習場所は、もっぱら第三音楽準備室で、そこから移動することは無い。
首をかしげるわたしに、宗樹が軽く肩をすくめた。
「ここで、蔵人の歌に歌詞が出来てさ。
合わせようとしたんだけど、音に言葉を乗せると、蔵人の音程が歌うたびに変わるんだ。
音が違うって言っても、蔵人にはわからねぇし。
いろいろやったら元の音の出し方も忘れそうだっていうからさ。
一番初めに歌を作った場所で、気分転換するんだってさ。
ん、で。
俺は、歌う蔵人に付き合って、音を聞こうと思って」
「えっ……!」
それは、大変なことだよ!?