うそつき執事の優しいキス
 
 大好き……


 大好きな、宗樹。


 ああ……なんでこのヒトのキスはこんなにも落ち着くんだろう。


 言葉にしなくても『がんばれ』って言ってくれているような気がする。


 優しい、優しいそのキスに、わたしの不安は吸いとられて。


 甘い……暖かい刺激が終わった頃には、幸せのためいきと一緒に緊張感がずっと薄れてた。


「そうじゅ……」


 なんだか泣きそうな気分なわたしを胸に抱いて、宗樹がほっこり笑う。



「理紗の三番目のキス、いただき。
 どうだ、少しは落ち着いたか?」


「……うん」


 心臓は、違う方向に、どっきどきだけど!


「……大分良い感じ」


 落ち着いたわたしの声に、宗樹はほっと息をついた。


「西園寺で初めてキスした時、俺の不安が消えたから、これはお返し」


 そう言って、宗樹は笑った。


「ステージに居ても、理紗は一人じゃないぜ。
 俺はいつだって音で理紗を抱きしめている。
 だから、心配になったらドラムの音を良く聞いて?
 ちょっとぐらい間違っても、大丈夫。
 俺は、絶対理紗の側から離れないし。
 皆もきっと、助けてくれる」
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