うそつき執事の優しいキス
 校長以下、教師の皆さまは何時だってにこにこ笑顔で、わたし『だけ』どんなわがままも聞いてくれたけど……


 それやるたびに『お友達』だと思ってた子が笑顔のまま、フェードアウトしてゆくのに気がついちゃった。


 わたし、クラスメートにどん引きされてたんだね。


 ……これじゃあ、本当のお友達なんて、出来ないよ。


 新しい所に行くのはドキドキするけれど、ここは心機一転。


 普通の公立高校に通って、普通に生活して、クラスメートか、せめて同学年に『本当の友達』を作って来ようかと思うの!


 わたしは、心の中でうなづいて手をぎゅっと握りしめたのに。宗一郎ってば、まだ泣いてる。


「もう、爺の心配性!
 別に独り暮らしさせて、とか言ってるわけじゃないでしょ?
 ただ、学校に行って帰って来るだけよ?」


「……その、通う学校に問題があると申し上げてるのです!」


 涙を拭いてる真っ白なハンカチの隙間から、爺の目がきらりん☆ と光って思わずたじろいだ。


「君去津高校って、公立だけど毎年沢山有名大学にも受かる進学校だし!
 スポーツ系のクラブのいくつかと、吹奏楽部は全国大会に出た、きちんとした学校でしょ?」
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