うそつき執事の優しいキス
 きっ……君去津高のヒトってみんなイケメン?


 ん、で、ケンカっ早いの……!?


 昨日は、どっかでお祭りでもあったかなぁ?
 

 びっくりしてあげた『わあ』の声に気がついたらしい。


 彼は歌をやめて、こっちを見た。


 その視線の元が……瞳が。


 深い深い青色だってことに気がついて息をのむ。


「キレイ……海の色だ……!」


「……なに?」


 うぁぁ……不機嫌~~


 青い瞳が、わたしを睨んでる。


 カラーコンタクトとかそういったモノでは、きっと絶対出せない。


 とても素敵な瞳の色の感想を、あいさつも無しに言っちゃったのが、不味かったのかな?


 それとも、歌を邪魔したのがいけなかったのか、な?


 聞けばきっと『どっちも腹立つ』って返って来そう……聞かないけど!


 顔の傷で、凄みをました上、瞳が青いからか、どうか。


 何だか妙に迫力ある視線にたじたじと、後さずる。


「す、すみません。
 なんだか、あなたのキレイな歌に誘われて、思わず見に来てしまいました。
 君去津高の合唱部の方ですか?
 これからも、練習頑張ってくださいね」


 お邪魔しました~~とごまかしながら、くるっと振り返り。


 そのまま逃げ出そうとしたわたしを、その人は見逃してくれなかった。
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