うそつき執事の優しいキス
 本当はようやくそのCards soldier(カーズソルジャー)ってヤツ!


 さっき出会った金髪の男子が言ってた、君去津高のインディーズだって思い出したけど。


 名前をちらっと聞いただけ……じゃあねぇ。


 別に未練もなにもなく、簡単に窓際の場所を譲るわたしを、彼女は信じられないモノを見るように言った。


「ウソ! Cards soldierを知らないで入学(はい)って来たの!?
 あたしは、彼らがここの生徒だから選んだのに!」


「へ……へぇ」


「悔しいわよね!? 十二月の事故!!
 あれでスペード・エースさえ抜けなければ、今頃とっくにメジャーデビューして、テレビにだってどんどん出てたはずなのに~~!」


 わたしがCards soldierを知らないって言ったこと、このヒト覚えてるかな?


 彼女は、知らないバンドのことを一人で勝手にぺらぺらしゃべってる。


 正直、彼女の話にはげんなりしてたけど……引っかかる情報を見つけて目を見開いた。


 十二月に、Cards soldierのスペード・エースって言う人が、事故を起こしたって?

それで、本人は歌えなくなっちゃったって、あの金髪の彼からきいたけど!?

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