うそつき執事の優しいキス
 井上さんに、どうしても一緒に行くの! とか言われないウチに。


 部活、違くなるけど、残念ねってににこにこ笑いを張りつけたまま。


 じゃあ、今日はこれでさよなら~~と、彼女の視界から、静かに離れようとしたんだけど……


 井上さんは意外にも、そう残念がらず『そっか』とあっさり肩をすくめた。


「じゃ、部活別になるのは残念だけど、お昼は一緒にどお?」


「まあ、お昼くらいなら……」


 心のウチはともかく、名目上『オトモダチ』になった以上、ぼっち同士背中向けて食べるのも、確かに変~~


 わたしは、承知すると井上さんに言った。


「お昼は良いのだけど、今日はお弁当を持って来てないの……
 ここのカフェテリアもクレジットカード使えるわよね?」


「へ? カフェテリア? クレジットカード?」


 あれ? わたし、何か変なコト言ったかな?


 いきなりきょとんとした顔の井上さんにわたしは、首をかしげた。


「君去津では、お昼を食べる場所をカフェテリアって言わないの?
 レストラン? 学食? 飲食スペースって言うのかな?」


 今まで通っていた星条学園では、勉強をする校舎の別棟に、街のレストラン顔負けな、おしゃれなカフェテリアがあって小等部……小学生から出入りが許される。


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