うそつき執事の優しいキス
「今日来る時、宗樹に立て替えて貰った切符代!
 まさか、学校でクレジットカードが使えないなんて、知らなくて。
 ここで、宗樹に会えるとも思えなくて……
 お昼代にしちゃった!」


 うう。空っぽな財布を見て今、思い出すなんて~~!


 だからと言って、この半無人駅っぽい君去津駅だって、クレジットカードが使えるかは、かなり謎なんですが……


 自分のヒト差し指同士、先をつついてうつむくわたしに、宗樹はくす、と笑った。


「金持ちのお嬢さんのくせに、そんな細けーこと気にするんだ?」


 意外~~って言ってるみたいに目を細めた宗樹に、わたしはバタバタと手を振った。


「だって……お金は、単に財産って意味だけじゃなく、人間として生活するための基本だから、どんなに少なくても大事にしなさい。
 オトモダチ同士、知り合い同士お金の貸し借りはしちゃいけませんって」


「親が言ったのか?」


「ううん、西園寺家のご先祖様から代々言われてる、家訓って言うヤツ?」


 ふーん、だから西園寺は先祖代々ずーっと金持ちなんだな。


 なんて、宗樹は感心したように言うと、肩をすくめた。


「それ、立派なお言葉だけど、俺に対してだけは無効な」


「なんで!」
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