うそつき執事の優しいキス
 言ってることが今、思いつきました~~ってんじゃなく。


 本当に自分はわたしのモノだって言ってるみたいだ。


「まさか……それ、本当に……?」


 いきなりの宗樹の言動に驚いて、恐る恐る聞いたら。


 宗樹は、黙ってわたしの手を取り、その甲に軽くくちづけて言った。


「もちろん……ウッソ~~!!
 今、何時代だと思ってるんだ、莫~~迦~~」


 宗樹は、今までの堅い表情を吹き飛ばしてあはははっと笑うと。


 握っていたわたしの手に軽くすがって立ち上がり、ぱたぱたとズボンの埃を払った。


「西園寺がらみの出費はなぁ~~
 書類書いてウチのジジィに出しときゃ、あとで、三倍ぐらいになって返ってくるから、お嬢さんは遠慮なくタカるように。
 俺のこずかいが増えるだけだし」


「本当?」


「これは、本当」


 うなづく宗樹の瞳が微妙にずらされている感じがするのは思いすごし?


 まっすぐわたしを見ないのは、気のせい……?


 宗樹は笑っているのになぜか、とても落ち着かなくて、わたし。


 西園寺と宗樹の藤原家の関係が『ドコまでが本当なの?』って聞けなかった。
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