よくばりな恋


朝起きると、隣に翠がいない。

自分でもおかしいくらい狼狽えた。

リビングにとびこむと、ソファーに翠がちょこんと座っていた。こちらを見てびっくりしている。

昨夜泣き続けた翠を、どうしても誰も帰って来ないひとりきりの部屋に帰したくなくて、着替えがないことが理由にならないようにしてやった。



なんでこんな必死なんだオレは・・・・・。


案の定、熱が少し下がったと帰ろうとするから膝の上に拘束した。


キスをすると、オレの首にしがみついてくる。熱のせいで心細くなったと。
子供みたいやなと背中をたたいて、何にもせずに寝てろよと言うと、オレがいつになく優しいとへにゃりと笑う。



久しぶりに見た笑顔が嬉しくて、またキスをした。
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