よくばりな恋
終業後、なるべく目立たないように病院の最上階へ向かう。院長室の前に立ち、ノックをしようとすると内側から急にドアが開いた。
「翠ちゃん!院長先生とお約束?」
秘書のちはやさんがニコニコしながら聞いてくれる。
「いえ。約束はないんです。週末に茜のとこへ行ったからお土産を持ってきただけで」
「もう少ししたら帰ってきはるからお茶でも飲んで待ってなさいな」
「お忙しいんじゃないんですか?これを渡しておいていただいたら」
言いながらトートバッグからお土産を取り出す。甘いものが大好きな院長先生に茜チョイスの焼き菓子セットだ。
「会えなかったらがっかりしはるわよ。
翠ちゃん大好きなんだから」
笑いを含みながらちはやさんが腕をとって院長室の黒い革張りのソファーに座らせてくれる。
「翠ちゃん、もう海斗くんには会った?」
「噂のイケメンドクター?まだです」
「面識なかったっけ?」
「わたしが斯波家と親しくさせていただき始めた頃には海斗さんはもう東京でしたから」
カチャリと重厚なドアが開いた。
わたしは弾かれたようにソファーから立ち上がった。
「翠ちゃん!」
院長先生が戻ってきた。
「院長、翠ちゃんお待ちかねですよ」
「翠ちゃん!院長先生とお約束?」
秘書のちはやさんがニコニコしながら聞いてくれる。
「いえ。約束はないんです。週末に茜のとこへ行ったからお土産を持ってきただけで」
「もう少ししたら帰ってきはるからお茶でも飲んで待ってなさいな」
「お忙しいんじゃないんですか?これを渡しておいていただいたら」
言いながらトートバッグからお土産を取り出す。甘いものが大好きな院長先生に茜チョイスの焼き菓子セットだ。
「会えなかったらがっかりしはるわよ。
翠ちゃん大好きなんだから」
笑いを含みながらちはやさんが腕をとって院長室の黒い革張りのソファーに座らせてくれる。
「翠ちゃん、もう海斗くんには会った?」
「噂のイケメンドクター?まだです」
「面識なかったっけ?」
「わたしが斯波家と親しくさせていただき始めた頃には海斗さんはもう東京でしたから」
カチャリと重厚なドアが開いた。
わたしは弾かれたようにソファーから立ち上がった。
「翠ちゃん!」
院長先生が戻ってきた。
「院長、翠ちゃんお待ちかねですよ」