よくばりな恋
まだわたしはあなたの側にいていいの?
もうええやろといつ言われるか、あなたに本命の彼女がいつ出来るのか、ホントは怖くて怖くて仕方が無い。なのに、何にも言えない意気地なしの自分が情けなくて・・・・・抱かれることも出来ない臆病な自分が大嫌いなの。
外科病棟へ行くと、看護師さんたちの申し送り中。通りすぎるときに「特別室に入院患者さんが入るから準備を」と言う師長さんの声が聞こえてきた。VIPでも入院するのかな・・・・・。大変そうだ。
食事が進まない患者さんと話をして、病室を出たところで、ドンっと誰かとぶつかり、思い切り鼻をぶつけた。
「痛・・・・・すいません。大丈夫ですか?」
顔を上げると院長先生だ。
「ああっ!翠ちゃん!大丈夫?ああっ!鼻がっ!」
生暖かいものが鼻の下を流れる。
「ああっっ!翠ちゃん、鼻血や!」