よくばりな恋
「へ?」
鼻の下に手を持って行くと、確かに液体が流れている。あ、鼻血だ・・・・・と思うと同時に院長先生がかがみ込み自分のハンカチでわたしの小鼻をつまむ。
「へんへ・・・・・ハンハヒがよぼれりゅ・・・・・」
鼻を摘まれているので上手く話せない。
「翠ちゃんのためやったらハンカチなんか100枚汚したって平気や!気にせんでいい!」
頭を撫でながら鼻を押さえてくれる。通り過ぎる患者さんや看護師さんがクスクス笑う。は・・・・・恥ずかしい・・・・・
「大石先生、ええとこに!」
通りがかった外科部長に院長先生が声をかける。
「鼻の骨が折れてるかもしらん!レントゲンを・・・・・!」
外科部長がゲラゲラ笑いながらわたしの方を覗きこむ。