よくばりな恋
「あ、帰ってきたんちゃうかな」

紗英がタオルで手をふきながら玄関へ行く。お鍋、テーブルにセットしておこう。



「なんでアンタがいんのよ?!」



紗英の大きな声が聞こえてきた。びっくりしてカセットコンロにおこうとしたお鍋をひっくり返しそうになる。どうしたんだろ?


「翠ちゃん、お待たせ」

成海先生がいつもの笑顔でリビングに姿を現す。

「いいえ、よんでもらってありがとうございます」

成海先生の後ろで紗英が騒いでいる。

「海斗がくるなんて聞いてない!」

「うるさいよ、紗英。久しぶりに会うイトコでしょうが」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海斗?




「ホンマ紗英はうるさい。オレはおまえの顔見に来たんちゃうわ。健太郎と飲みたくて来たの!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この声は?




紗英の後から姿を現した背の高い男の人。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海斗さんって言った?だってこの人は・・・・・・・・・・・・・・・






彼がわたしに気付いて、顔をじっと見る。






「あ 新幹線のヘンな女」

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