よくばりな恋


「行かなきゃいい。1週間お休みやし」

しれっと先生が答える。

「オレに軟禁されるのもいんちゃう?」

「いやです!」

「ぶっ・・・・・全力で拒絶すんな。傷つく」

抱かれる手はどこまでも優しい。耳の後ろに先生の息遣いを感じる。手に入らないと思ってた人が側にいる。

「ま、こんなもん1週間もすれば消えてまうんだけとさ」

先生がわたしの怪我をした左手をそっと包み込み、目の高さまで上げる。

「消えない印もつけとこう」

ゆっくり薬指に差し込まれるシルバーの環・・・・・。控え目にぐるりとダイヤモンドが並んでいる。

「せんせ・・・・・・・・・・!」

「翠、どこにも行くなよ。ずっとオレの側にいて」




・・・・・・・・・・あふれる涙。

幸せで、大切な時間。

言葉が出なくて、ぎゅっと後ろから回された先生の腕にしがみついて頷いた。



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