よくばりな恋
「そんな訳あるか!夜、病院の忘年会があるんだよ」
プロポーズ?
オレは翠を縛っておけるものが欲しかった。オレのものだという印が欲しかっただけだ。
今日こそは翠を捕まえるつもりだった。
少し遅れて会場にに着くと、翠の姿を探した。
律儀なアイツのことだから絶対に時間に間に合うように来てるはず。
「海斗!」
呼ばれた方を振り向くと健太郎だ。
「来てたのか。こういうの嫌いだと思ってた」
「オヤジに強制された」
「まあそんなとこだろうとは思ったけど」
健太郎が笑う。
「それより翠見なかったか?」
シャンパンに口をつけながら、健太郎が唇の両端をあげた。
「今日の翠ちゃんは見といた方がええよ。あそこで囲まれてる」