よくばりな恋


健太郎の指の先に視線をうつす。


ピンクのワンピースを着た翠。

ぬけるように白い肌によく似合ってる。

髪の毛もいつもの真っ直ぐじゃなくて、内巻きに巻かれ、頬が上気してほんのり色づく。

何人かの男に囲まれて、少し恥ずかしそうに笑って話している。

思わず舌打ちをした。

「可愛いよね。再確認した?」

「は?」

「誰も邪魔しなければあのコはモテる。すぐに大事にしてくれるヤツが現れる」

「・・・・・・・・・・」

「小学校の同級生だかなんだか知らんけど、噂で無闇に傷つけるな」

「・・・・・なんの話だ?」

「独り言」

意味深な言葉を残して、健太郎は料理を取りに行った。

翠のところへ行こうと踏み出したとき、周りを看護師たちに囲まれた。
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