よくばりな恋


色々話しかけられて、行く手を阻まれる。ひっきりなしだ。後から後から色んなヤツが出てきて、翠にたどり着けない。

翠が疲れたように壁際の椅子に座った。すると、すぐに藤原が隣に腰を下ろす。
何を話しているのか、そのうち藤原の手が翠の背中に回された。

「斯波先生、ちょっとよろしいか?」
出来上がって上機嫌な内科部長に捕まり、一瞬翠から目を離した。



次に見たとき、そこに翠の姿はなく、藤原も消えていた。



何をやってるんだ、オレは。



翌日、オレの気分は最悪だった。

翠の意思で離れて行くのなら、もう仕方がないかと思い始めていた。翠が甘えられる、優しい男がいるのかもしれない。タイミングを逃した遅めの昼食を取るため、コンビニで何か調達しようと廊下を歩いているときに健太郎と出会った。


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