よくばりな恋
流れるような美しい動作でおばさまがカップに紅茶を注ぐ。
「翠ちゃんに不満がある訳ないでしょうよ。目の中に入れても痛くないくらい可愛がってるのに」
「ほななんでーーーーー」
先生が不機嫌に聞き返す。
「考えてごらんなさいよ。そんな可愛がってるのによ?3人も息子がいて陸、海、空の誰かの嫁にっていう話が出なかったのが不思議やと思わない?」
おじさまは無言だ。
「なんで?」
「わたしがバラしちゃっていいのかしらねぇ、あなた?」
おばさまは物凄く楽しそうだ。
新聞がクシャリと乱暴にたたまれた。
「ぼくは翠ちゃんとバージンロードを歩きたかったんや!海斗と結婚したらぼくは新郎の父やないか!」