よくばりな恋

「ぼくは廣田さんがええんです!」
少し強い口調で言われる。

「滝川さん、予定が合えばまたわたしが担当させていただきますね」
と穏やかに返す。
見るかぎり、前回会ったときから1グラムも痩せたようにない。

「これから昼休みでしょ?病院の近くに新しくフレンチのお店がオープンしたんですよ。ご一緒しましょう!」

いきなり腕を掴まれる。
皮膚が思わず粟立つ。

「すいません。わたしお弁当を持ってきてますので・・・・・・・・・・」

やんわり断る。掴まれた腕から彼の手汗が染み込んでくるような気がして、本気で気持ち悪い。

「えーーっ、廣田さんの手作り弁当やったらぼくも食べてみたいなあ」

細い目を一層細くして滝川さんが言う。

「すいません、滝川さん・・・・・・・・・・」

わたしはなんとか彼を不快にさせないように断らないとと必死で考えていた。
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