よくばりな恋

「ごめんな?なんか滝川さんで苦労してるんやて?さっき長瀬さんから聞いた。これからはあの人、長瀬さんにふるからね」

「アレなに?」
斯波先生が憮然として聞く。

「糖尿病の患者さんで、わたしを指名してやたら食事療法の相談に来られるんですけど・・・・・・・・・・」



「病院通い出してからほぼ半年になるけど、何にも改善してないね」
と成海先生。

「・・・・・・・・・・ふうん」

「翠ちゃん、ぼくたちこれから昼メシ行くけど一緒に行く?」

「あ すいません。部屋に戻ってお弁当たべるので」

「そう?海斗と一緒のときにイロイロ聞きたかったんだけど?」
成海先生がイタズラっ子のような表情を浮かべる。斯波先生は横で涼しい顔だ。

「イロイロは斯波先生に聞いてください。何にもないですけど」

「そう?」

「そうです!」

「じゃ 残念だけど海斗、行こう」

「失礼します」
とお辞儀をしたら、斯波先生の大きな手が頭にのり髪をくしゃくしゃにした。
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