よくばりな恋
「まさか病院内でどうこうはしないとは思うけど、相談室は密室だしね。翠ちゃん、担当わたしが代わるわ。できるだけ成海先生もブロックしてくれるだろうし」
長瀬さんは頼もしい。
「よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げた。
あっと言う間に1週間。病棟に行ったときなど斯波先生の姿を時々見かけることがあった。患者さんには愛想がいいとは言わないまでも、丁寧に病状を説明する姿勢にはみんな信頼をおくようだ。
いいお医者さんなんだけど・・・・・・・・・・。
そして日曜日、朝9時10分前。
インターホンを押そうとしたわたしの後ろから声をかけられる。
「こんな朝早くからどないしたん?」
「空くん!」
鍵を取り出して玄関をあけてくれ、中に入れてくれる。