よくばりな恋
それでも許してもらえず、歯列、口蓋と先生の舌がなぞる。
限界だった。
強く胸を押して、ようやく顔が離れる。わたしは大きな息をつく。
「翠?」
大きな手が背中を撫でる。
「い・・・・・息継ぎがどこでしたらいいかわからへん・・・・・」
「ぷっ・・・・・・・・・・、息継ぎて・・・・・・・・」
「はっ、はじめてやし、わからへんもん!」
先生の胸に抱き寄せられる。胸に耳がついて、ダイレクトに先生の心臓の音が聞こえる。わたしの心臓はバクバクしてもう壊れる寸前なのに、少しの乱れもない規則正しい音が悔しい。
「鼻でしろよ。鼻で」
笑い声が先生の身体を通して聞こえてくる。相変わらず背中を撫で続ける先生の手が思いの外優しくて心地良い。