よくばりな恋
誰かを本気で好きになれたら、きっと幸せになれるのに。
先生ならきっと見つかるのに。
「翠にはホントに幸せな結婚をして欲しい。わたしだけやなくて、茜ちゃんやって、おじさまやおばさまやってみんなそう思ってる」
「わかってる」
ニッコリ笑って答える。
「それに海斗の結婚は病院のことも考えてになると思う。政略的なこともあるかもしれない。おじさま、ぽーっとしてるようでやり手だから」
「紗英、心配症だなあ。先生とはそんなんやないから。自分のことも十分わきまえてるし」
「ならいいけど・・・・・・・・・・」
胸の奥の方でチクリと微かな痛みがする。けれど、やっぱり臆病なわたしは気付かないふりをしてやり過ごした。