よくばりな恋
キッチンはこの間わたしが片付けたまま
きれいにしてある。ふと隅を見ると、脚立のような踏み台がたたんで置いてあった。
わたしのため・・・・・・・・・・?
ソファーに膝を抱えて座り、息をつく。
寝室のドアが勢いよく開いた。
「翠っ!?」
先生が飛び出してくる。ソファーに座っているわたしを見つけるとホッとしたような顔をする。
「勝手にいなくなるな。どっかで倒れてるのかと思ったやろ」
わたしの左隣にどっかりと座る。
「ごめんなさい」
でもあのまま寝ていたら、心臓が、もちそうになかったんです、とは言えなかった。
先生の手が伸びてわたしの前髪をあげ、額を触る。
「熱、かなり下がったな、体温計で測ってみ」
体温計を受け取り脇に挟む。