よくばりな恋
30秒でピピッという電子音がすると、横から手が伸びてきて体温計を奪われた。
「37.8度。まだあるな」
「でも昨日よりだいぶラクになりましたよ」
「喉みせて」
素直に口をあける。
「ま そんなすぐには腫れはひかないか。また熱があがるかもしらんから薬飲んで寝てろ」
「はい。お世話になりました。そしたら・・・・・」
ソファーから立ち上がろうとして、腰に回された腕で強引に引き戻された。
「どこ行くんだよ?」
先生の膝にのせられ、耳元で言われる。くすぐったくて、恥ずかしくて、心臓がもう尋常じゃない早さで動いている。
「どっ・・・・・どこってウチに帰らないと・・・・・・・・・・」
「治るまでウチにいろ。医者つきや」